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「リビング京都」の読者ブロガー発【京都えきにしレポ】Vol.3「角屋もてなしの文化美術館」編

トピックス

2021/10/19

女性のための生活情報紙「リビング京都」。そのホームページで活躍する読者ブロガー「リビング京都 WEBフレンド」に、京都えきにしエリアの体験をレポートしてもらうシリーズ。

第3回目は、花街「島原」の趣を残す建築と文化を鑑賞できる「角屋もてなしの文化美術館」です。

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こんにちは。「リビング京都 WEBフレンド」の大好チヨ子です。

私は、JR丹波口駅東口から南へ徒歩5分程のところにある「角屋もてなしの文化美術館」を訪れました。京町屋特有の格子が美しい外観を見ただけで、その佇まいに惹き付けられました。             

入館すると、解説付きで館内を案内してもらえました。様々な調度・庭などのしつらいに対するこだわりがそこここにちりばめられていたので、案内がなかったら、細部を見逃してしまったかもしれず、丁寧に説明していただけたのはありがたかったです。

「角屋」の建物は、「揚屋(あげや)建築」としては唯一の遺構であり、国の重要文化財の指定を受けています。「揚屋」というのは、今でいう料亭のことだそうで、ここ角屋さんは江戸時代、京都で民間としては最大規模の饗宴(きょうえん)の場。時には歌舞音曲の遊宴の場として、またある時は和歌や俳諧など文芸の席・文化サロンとして、さらに幕末には会合場所として…。文化人や高貴な方をまさに「もてなし」た場だったのですね。

「揚屋建築」については、館の方が実際の特徴となる場所ごとに解説をしてくださいました。
まず、客振舞いのために、寺院の庫裏(くり)と同規模の台所を備えているのだそうです。

広々とした調理場に並ぶおくどさん、煙が抜けるように換気の窓が沢山あったり、配膳の部屋への段差を無くし、食品の床下収納庫があったりと、使い勝手も考えられていました。当時の宴を裏付ける、ある日のお品書きや使用した食器類の記録も同時に展示されており、この場に立っていると、調理場で多くの人々が慌ただしく立ち振る舞っていた喧騒が聞こえて来そうな気持ちになりました。

また、饗宴施設のため、大座敷に面した広庭に、必ずお茶席を配するということで、1階の大座敷「松の間」のふすまを開けると、青々とした松が美しい広庭の奥に茶室が造られていました。

庭の「臥龍松」(※)は、現在若い松3本で当時の姿が再現されています。また、当時の松の幹も保護され姿を留めていました。 多くの画人・文人・墨客らが題材としたのも頷ける美しい庭で、午後の陽が降り注いでいたのを見ていると、夕刻が迫り夕日で染まった光景を想像して、さぞかし素晴らしいだろうなと思ったのでした。

(※)一本で臥龍を思わせる松のこと

1階には「網代の間」という部屋もあるのですが、寺社の書院などでも使用される高級壁としての赤色壁が華やかで、天井や調度も「松の間」とは全く異なっていました。部屋ごとに工夫や楽しみや発見があり、それら一つ一つの細部にわたるこだわりも、お客様へのもてなしの気持ちの表れだったのではないかなと思いました。

見学をしてゆく中で、私が特に興味深く楽しく拝見したのは、ふすまの引手や、釘隠しの調度でした。それぞれが部屋のテーマにあった細工物で、しかもおめでたいものが多く使われていて、七宝焼きの引手や、宝づくしや源氏香の釘隠しなどどれもとても凝っていました。

また、歴史ある建物なのに、灯りや欄間のデザインも全く古臭さを感じません。角屋さんは、長年蝋燭の灯りや行灯(あんどん)の油煙で室内が黒くすすけ、そのため、煌びやかであった襖(ふすま)絵も黒く染まっています。しかし天井やふすまが黒っぽく染まっていることで、どこかアール・ヌーボーの雰囲気を感じさせました。

1日4回、5人以内(通常20人ですが、現在人数制限中)で各部屋を丁寧に解説していただけます。

2階には、「緞子の間」「翠簾の間」「扇の間」「草花の間」など多くの部屋があり、ふすまを開け放つことで大宴会の広間に拡張できたり、各部屋から出入りができる工夫が施されていて、それらも細かく拝見できました。
どこも美術的な美しさがあり見ごたえもあるのですが、中でも「青貝の間」は驚きを隠せませんでした。壁や建具に至るまであらゆる部分が螺鈿細工で、この様な異国情緒漂う室内に、古の人々はどんな感想を持ったのか思いをはせるのも楽しいものでした。2階の座敷の見学は予約制で行われています。

新選組の刀の傷や、西郷さんが行水されたたらいなどもあり、歴史に興味のある人にとっても一見の価値ありです。

1階展示室では現在「角屋の螺鈿展」を開催中。角屋所蔵の螺鈿装飾の調度類の数々が展示されていました。

 

解説をお聞きしながらの美術館鑑賞は、あっという間に時が過ぎました。一見様お断わりの豪奢な料亭であった「角屋」、世が世ならば私などとても垣間見ることのなかったであろう「揚屋」でのもてなしの文化を、しばし体感出来た充実した時間でした。

〈角屋もてなしの文化美術館〉

京都市下京区西新町敷揚屋町32
TEL:075-351-0024

午前10時~午後3時40分まで(当面の間)

※2階見学の予約等は公式HPから確認を

月曜休(月曜祝日の場合は翌日休)

一般1000円、中高生800円、小学生500円

 


 

〈ライター〉

大好チヨ子

リビング京都のホームページ「LIVING kyoto web」の読者ブロガー。

https://kyotoliving.co.jp



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